via wwalnuts 08 螺旋・生・時間――河野道代『spira mirabilis』論

著者:三松幸雄
その詩的思考の深さや作品の高さにもかかわらず、論じられることの少ない詩人、河野道代。しかしここに、強靭な思考としなやかな芸術批評をつなぎうる新しい書き手・三松幸雄によって、その詩の根源的で画期的な試みを読み解く思索があらわれた。詩集『花・蒸気・隔たり』(2009年 panta rhei刊)の高みをいちはやく論じた三松幸雄は、ここでは、1993年の『spira mirabilis』(書肆山田刊)にさかのぼって、その《驚異》の詩作にひびく形而上学的な音楽の由来を、広汎な学識と繊細な感覚によって読みほどき、その詩の本質に迫る。60枚を優に超える充実した論考で、通常巻の2.5倍の20ページ(定価は従来のまま)。via wwalnuts叢書では、二人目の著者の登場。

《見えないものを見せる声の力、身体を伝う大気の振動が、透明な像を中空に現出させる。この言葉(ロゴス)と神話(ミュトス)の反転し合う場(コーラ)を求めて、三松氏は河野道代氏の〈spira mirabilis〉と力を分かち合った。山頂の窪みというトポスから、星座における闇とキアスムを経て、他になる私と私になる他の「錐揉む光」の形象にいたるまで、その秘めやかな驚異の螺旋運動が一つの場処を紡ぎだす過程…》松本潤一郎「透明な神殿――傷ついた螺旋の経験から」(図書新聞2011.9.10)

9784905219088

図版:アルブレヒト・デューラー
組体裁:1段組
ページ数:20
初版第1刷=40部 2011年6月刊

三松幸雄(みつまつ・ゆきお) 東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。東京大学COE「共生のための国際哲学交流センター」研究員を経て、現在、明治大学ほか兼任講師。研究領域は哲学・現代芸術。

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『螺旋・生・時間――河野道代『spira mirabilis』論』への後記

三松幸雄による『花・蒸気・隔たり』論

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